現代人にとって宗教世界をどのように理解すればよいかの問題意識をもって、宗教論を土台に社会変動と宗教変動、宗教の自然観と環境問題、原理主義と神秘主義、脳死・臓器移植と宗教倫理等の論点を簡明に究明した。
第1部 宗教とは何か
第1章「宗教」という言葉の意味
1.中国や日本で用いられた「宗教」の意味
2.現在使用されている「宗教」の意味
第2章 宗教の定義
1.「聖」の概念
2.「究極的関心」の概念
第3章 宗教の諸類型
1.発生の事情による類型
2.伝播の仕方を基準とする類型
3.内容や性格による類型
4.宗教の三類型による諸宗教の概観 1未開宗教 2 民族宗教 3 世界宗教
第4章 宗教の構造と機能
1.宗教の構造 1 教義 2 儀礼 3 宗教集団
2.宗教の機能 1 宗教の個人的機能 2 宗教の社会的機能 3 都市社会における宗教の機能
第5章 宗教研究の歴史と宗教学
1.宗教研究の歴史
2.宗教学の成立
3.宗教学の領域
第6章 宗教学の体系化
1.宗教民族学から宗教人類学へ
2.宗教心理学 1 回心 2 信仰 3 宗教体験 4 精神分析と宗教
3.宗教社会学 1 宗教と経済 2 社会変動と宗教
4.宗教現象学
第7章 宗教学の現在
1.日本の宗教学
2.比較宗教学とは何か 1 宗教比較の二類型 2 宗教の新研究に対する名称 3 宗教学の成立 4 宗教学に対する各種の名称 5 比較宗教学の再生
第2部 現代と宗教
第1章 社会変動と宗教変容
1.都市化時代と宗教
2.宗教変容と世俗化
3.宗教不滅論と宗教衰退論
第2章 宗教の自然観と現代の環境問題
1.問題の所在
2.諸宗教の自然観 1 ユダヤ教・キリスト教の自燃観 2 イスラム教の自然観 3 バラモン教・ヒンドゥー教と仏教の自然観 4 中国人・日本人の自然観
3.神・自然・人問の関係に基づく宗教の諸類型
4. 神・自然・人間の哲学上の課題
5.環境問題への宗教類型論からのアプローチ
第3章 原理主義と神秘主義―1970年代以後の宗教運動
はじめに
1.宗教学における原理主義と神秘主義
2.現代日本の新宗教運動
3.オウム真理教事件とその評価
おわりに
第4章 宗教的多元主義の現在
1.多元主義と多神教的エートス 1 多元主義とは何か 2 多神教的な魂は多重人格を包含する
2.多元主義的なキリスト教神学 1 ジョン・ヒックの多元主義的なキリスト教理解 2 キリスト教の唯一性神話を超えて 3 キリスト教の唯一性の再認識
3.宗教的多元主義と現在・未来
第5章 脳死・臓器移植問題と宗教倫理
1.献体と臓器移植
2.臓器移植と脳死を「人の死」とすることについて 1 臓器移植法の要点 2「人の死」に対する国の介入を危恨する 3 法律の整合性の問題 4 違法性の阻却
3.仏教の立場から脳死は「人の死」か 1 仏教の生命観・生死観 2 仏教の救済思想 3 仏教の自殺観と不殺生戒 4 仏教の霊魂観と身心観
4.脳死と「人の死」―私見― 1 脳死を「人の死」としない臓器移植法ができなかったか 2 死ぬ権利 3 臓器移植医療の問題 4 移植外科医の救済法
あとがき