ブッダの悟りを自分自身において完成させようとする見取図への挑戦。達磨が従ったブッダの道は、ブッダの道を完成させること、すなわち理屈だけではなく、現実・実際とのずれを埋めることであり、それが修行の意味であるとする。達磨の修行すなわち坐禅は、苦の元である煩悩と輪廻からの離脱が、すべての人間に確証できるかを問う試みであるとし、達磨の無心哲学を展開する。
ブッダの悟りを自分自身において完成させようとする見取図への挑戦。達磨が従ったブッダの道は、ブッダの道を完成させること、すなわち理屈だけではなく、現実・実際とのずれを埋めることであり、それが修行の意味であるとする。達磨の修行すなわち坐禅は、苦の元である煩悩と輪廻からの離脱が、すべての人間に確証できるかを問う試みであるとし、達磨の無心哲学を展開する。
〈目次〉
はじめに
達磨とブッダ/ブッダの悟後修行はダルマの座禅/長明と道元/禅と念仏
第Ⅰ編 時間:流れのような輪廻(サンサーラ)――古代インドの時間(流転順観)
第1章 ウパニシャッド「五火二道の輪廻説」
第1節 アーリア人の南下
インダス文明/ガンジス川への移動
1 原始アーリア人
原住地/原始アーリア人の社会と宗教
2 原始アーリア人の移住
ヨーロッパ移住とアジア移住
第2節 カースト
カーストの萌芽/プルシア(原人)とプラトン「三部文説」/プルシアとアンドロギュノス/ドラヴダ人とタミル語/タミル語と日本語
第3節 天地創造
宇宙開闢/創世記、アベスター、記紀、ビッグ・バン
1 リグ・ベーダの宇宙開闢
「宇宙開闢の歌」/「天地両神の歌」/「アグニ」(火神)と「普遍の火」
2 ウパニシャッドの「五火二道」
3 ヘラクレイトスとニーチェ
ヘラクレイトス/ニーチェ
第4節 バラモン教
ベーダ/カースト/マヌの法典/シュードラとアウト・カースト/ガンディー/現在のインドと仏教
第5節 輪廻説
父子転生/手綱二道/プラトンの天翔ける馬/ウパニシャッドと梵我一如/仏教の輪廻と業感縁起
第6節 五火二道の輪廻説
五火説/タレスとヘラクレイトス/二道説/五火二道の輪廻説
第2章 ウパニシャッド今一つの輪廻説――「五光明・両界往還説」
はじめに/人の光明/五光明/両界往還/蛭の喩え/刺繡の喩え/因果応報/梵我一如/不死、梵、光明/非也・非也の定義/まとめ
第3章 知識の起源と推論――六派哲学から因明へ
経験論と合理論/沈黙の禅定から論争へ/都市化と自由思想家の輩出/六師外道の六師/ブッダの祇園精舎/
バラモンの六派哲学/ニャーヤ学派/現量(直接知覚)/量(プラマーナという手段)/比量(推論)/経験起源の現量/推論(比量)から対論へ/因明(五分作法から三支作法へ)
第Ⅱ編 仏教:流れからの解脱(モークシャ)――ブッダの教え(還滅逆観)
第1章 ブッダの悟りと哲理
第1節 ブッダの悟り
1 ブッダの悟りとは
目覚め/無明/十二因縁/三支因縁/四諦/八正道/仏伝/なぜ人に説くのか
2 悟りの内容の諸説
①「法を悟った説、平川説」
②十二因縁の「未完説、三枝説」
③「曖昧模糊説、中村説」
3 人それぞれの悟りか
シンパサー林で/知的節度/自由思想家の一人/六師外道/コーンダンニャ
第2節 ブッダの哲理(縁起と空)
1 要は「縁起の理法」
2 要は「空」
『小空経』/『大空経』
3 〈法空〉の三如性
縁起の原型/三如性と『中論』/イデア論
4 〈人空〉の三無我
「諸法無我」の「無我」とは/「無我」の“三無我”とは/三如性と三無我そしてイデアの三性
5 まとめに代えて――「試み」としての「空」定義
第2章 十二因縁の順観と逆観――迷いと悟り
1 仏教とローマ教皇
2 凡夫二道
3 仏キ論争
4 三支と十二支縁起
5 順観と逆観
附
第3章 龍樹の「前後時間」と「過現未時間」
『中論』第11章観本際品/『中論』第19章観時品
第4章 龍樹の「去者則不去」論とゼノンの「飛矢静止論」――その類似性と相違性の考察
1 はじめに、エレア学派
2 ゼノンの「飛矢静止論」
3 龍樹の「去者則不去」論
4 類似と相違性
5 ゼノンの「アキレスと亀」
6 ヘラクレイトス矛盾の二回路
7 まとめ、寂護の「離一多性」
第Ⅲ編 坐禅:流れの一瞬としての禅那(ディアーナ)――達磨の坐禅(四行止観)
達磨の無心と安心
はじめに/達磨の無心哲学/達磨の行為理論/敦煌文書の再構成/
おわりに
おわりに――旅二つ
1 永平寺の旅
2 ガンジス河流れのほとりにて
引用文献
〈著者紹介〉
側瀬 登(がわせ のぼる)
1942年(昭和17年)北海道に生まれる
1974年 法政大学大学院・博士課程哲学専攻修了
1971-1993年 法政大学指導講師(インストラクター)
1985-1994年 法政大学講師
1973-1996年 群馬県立高等学校・教諭
-2002年 特別支援学校・教頭
2009-2015年 国立群馬工業高等専門学校講師
高崎市在住
著書 『ブーバー・哲学と教育思想』(八千代出版)1981年12月
『時間と対話的原理・波多野精一とマルチン・ブーバー』(晃洋書房)
2000年11月
『ニーチェのニヒリズムと超人』(驢馬出版)2000年12月
『時と我・道元とデカルトの哲学』(北樹出版)2016年1月ほか