日本の仏教はキリスト教のような一律の教義の教えではなく、苦しみからの解放を目指すものだった。本書では同じサンスクリット経典に基づくインド・チベットの伝統によって仏教の概観をおこない、道元や親鸞の教えを仏教本来の観点から読み直す。また、民俗学の知見をも取り入れて、神や死者のまつりに仏教が関わるようになった論理や神信仰との接点としての浄土への憧憬、夢幻能の亡霊の成仏でのワキ僧の役割等を論じた好著。
第一章 近代の知と神仏1.近代の知を再考する 2.和辻哲郎と仏教 3.民俗学(柳田国男・折口信夫)と神信仰第二章 伝統的仏教観からの読み直し1.伝統的仏教観―インド・チベットの伝統 2.道元を読み直す 3.親鸞を読み直す日本仏教の特色第三章 神と仏の倫理思想史のために1.伝来当初の仏教―『日本霊異記』を中心に 2. 浄土信仰の諸相―折口信夫『死者の書』を手がかりに 3. 語りと成仏―夢幻能の世界その後の展開