小学校を中心とした教育実践に対する社会学的貢献と、社会学的な教育実践を具体的データをもとに示す。教師が「自ら研究する」ことに資することができるよう実践事例を多く取り上げる。
序章 「方法とは何か」ー「方法の社会学」序説
1 優秀な教師とは誰のことか
2 方法の特性:無自覚性と一般性
3 信念としての「こうすればこうなる」:因果関係とは何か
4 必然としての方法・選択としての方法:IREへの着目
5 規範的方法と優劣的方法:発達障害への着目
6 方法の習得について
(1)徒弟制と学校教育(2)「知識を学ぶ」ことと「方法を学ぶ」こと
第1部 小学生になるということ
第1章 園児から1年生への「飛躍」としての社会化
1 人生のターニングポイントとしての「就学」
2 「出会い」の場
(1)成員カテゴリー化装置という手がかり(2)「1年生」「先生」カテゴリーの同時摘用
3 「園児」から「1年生」へ
(1)「出会い」の前(2)「出会い」の後(3)カテゴリー集合の再編成実践(4)ショックの経験がもたらすもの
4 「つまずきの原因」から「飛躍の契機」としてのステップへ
第2章 「児童になること」と挙手ルール
1 少学1年生と挙手ルール
2 挙手ルールを教える
3 挙手ルールに従う
4 挙手ルールの「違反」の非構成とルールの再導入
5 「児童になること」と挙手ルール
(1)挙手の機能(2)ルールの浸透をめぐって
第3章 becomingとしての子ども/beingとしての子ども
1 子どもを反省的に見つめ直す
2 子どもをとらえるふたつの視点
(1)成長する子どもという物語
(2)「なりつつある存在becoming」と「いまそこにいる存在being」
3 みずからの経験を管理する子どもの実践
(1)解釈を促す積極的なはたらきかけと抵抗
(2)「何が起こったのか」をめぐる子どもと大人の相互交渉
4 子どもと大人の「文化接触」
5 子どもの「成長の物語」を越えて
(1)子どもを「becoming」としてとらえることの陥穽
(2)学校場面における「becoming」としての/「being」としての児童・生徒
第4章 幼少連携における教育臨床社会学の有効性
1 教育実践に対する臨床的なアプローチ
2 小学校になる・する過程をふり返る
3 幼稚園教員と小学校教員の対話を重視した協働的アクションリサーチ
4 子どもへの思いやねがいを共有する
5 授業カンファレンスによる気づき
6 カリキュラムの定義の吟味
7 社会学的な教育実践を創るためにできること
第2部 授業を研究する
第5章 「主体的・対話的で深い学び」の観察可能性
1 授業場面における教育実践の分析視点
(1)教育現場のニーズから(2)IRE連鎖(3)拡張連鎖(4)Type M
2 主体的・対話的で深い学びの観察可能性
(1)「疑問―予想―妥当」連鎖(2)妥当解の認定「ああ~」(3)生徒によるIREの管理
3 教師による導入
(1)「I群」と「R群」(2)児童見本型デモンストレーション(3)演劇型デモンストレーション
4 授業における教育実践の観察可能性について
第6章 授業のなかで作られる「事実」と「学級」
1 「学級」のなかで行われる授業
2 「学級が」学ぶということ
(1)授業場面のIRE連鎖(2)指名のない発話から始まる相互行為(3)文の協働制作(4)学級で構成される「事実」(5)「事実」を確かめる
3 「学級的事実」と相互行為分析が授業実践にもたらすもの
第7章 新任教員の「困難」をめぐる臨床研究の実践
1 「学び続ける教員」とA教諭との「出会い」
(1)教師の「学び」?(2)教育実践と教育研究(3)A教諭の「困難」
2 授業への「焦点化」問題
(1)授業参観の「印象」(2)「理科」の授業概要(3)「焦点化」という視点(4)「焦点化」困難な場面(5)「ほめること」の意味をあらためて考える
3 研究と実践の往還
(1)「焦点化」をめぐる分類の臨床的意義(2)「焦点化」と「注意」(3)教師の「属人的権威」から「学級社会の権威」へ(4)「ルール」の力の具現化へ
4 現実理解の協働的達成へ
第3部 児童に向きあう・学級に向きあう
第8章 児童のトラブルをめぐるナラティヴ・アプローチ
1 ナラティヴ・アプローチとの「出会い」
(1)「問題の外在化」(2)ナラティヴ・アプローチを「書く」ということ
2 トラブルへのナラティヴ・アプローチ
(1)Sくんへの「苦情」(2)ヤダッター現る!(3)ヤダッターをやっつけよう!(4)Sくんの物語からクラスの物語へ
3 物語としてのクラス
第9章 いじめ解決における「物語」構築実践
1 「物語」と学級経営
2 「いじめ物語」構築のための素地づくり
(1)いじめの発覚とストーリーの収集(2)「差別について考える」学級活動を通して(3)道徳の授業「差別といじめ」を通して
3 「いじめ解決物語」の構築
(1)「いじめ物語」の構築(2)「いじめ解決解決物語」から学級の新しい物語創出へ
4 物語の構築と書き換えによるいじめ解決の可能性
第10章 学級における「見えない壁」と「外部者」
1 「みんな」とは誰と誰のことか
2 学級の分析視覚
3 外国人児童のいる学級風景
(1)活気ある学級のなかの違和感(2)越えられるが壊せない「壁」(2)回ってこない順番(3)パスという「制度」
4 「みんな」に入らない戦略
5 学校における「外部者」の意義
終章 教員養成の現状と社会学の貢献可能性
1 近年の教員改革
2 教員養成の変容 スタンダード化
3 スタンダード化の問題
4 Teacher as researcher:実践研究者としての教師
5 研究の方法としてのaction research
6 教育社会学は教員養成にどう貢献するか